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竹工芸

竹籠のコレクションは、まとめて売れるのか ― 一軒に集まっていた6作家・8点の花籃

2026.10.16 古美術もりた
一軒のお宅からお譲りいただいた竹籠8点のうちの4点。手付の花籃、細長い胴の花籠、杉綾に編んだ壺形の花籃など
一軒のお宅からお譲りいただいた竹籠8点のうちの4点。同じ「竹の花籃」でも、作家ごとに編みの考え方がまったく異なります。/当店撮影

床の間の脇、天袋の奥、納戸の棚。長年しまわれていた桐箱を一つずつ開けていくと、出てきたのは花を生ける竹の籠でした。それも一つや二つではありません。先日お伺いしたお宅では、大阪・堺の名家から東京の飯塚家、別府の人間国宝まで、6人の作家による竹籠8点が、ひとつの家に大切に伝えられていました。本稿では、この8点をお譲りいただいた事例をもとに、竹籠をまとめて手放すときに知っておきたいことを、古美術商の立場からご案内いたします。

結論から申し上げれば、竹籠のコレクションは、まとめてお見せいただくほど評価しやすくなります。作家ごとの編みの違い、代の違い、箱や付属の揃い方が並べることではっきりと見え、一点ずつでは分かりにくい価値が浮かび上がるからです。一方で、すべてを一度に手放す必要はありません。今回のお客様も、二度に分けてお譲りくださいました。

この記事でわかること

竹籠のコレクションとは ― 花を生ける花籃(はなかご)を中心に、名のある作家の竹籠を複数集め、伝えている状態のこと。明治から昭和にかけて、煎茶や生け花をたしなむ家、文人趣味の旧家では、季節や花に合わせて籠を使い分けるため、作家の異なる籠を何点も持つことが珍しくありませんでした。作家の銘と共箱(作者が署名した箱)が揃った籠は、いまでは美術工芸品として国内外で評価されています。

The collection二度に分けてお譲りいただいた、8点の竹籠

ご相談をいただいたのは、当店と同じ世田谷区のお宅でした。花籃がいくつかあるので見てほしい、というお話で伺ったところ、箱に納められた竹籠が次々と出てまいりました。いずれも長く大切にしまわれていたもので、竹の色は年月を経て落ち着いた飴色に変わり、編み目にも大きな傷みは見られませんでした。

当日はすべてを拝見し、一点ずつ作家と見どころをご説明いたしました。そのうえで、お客様は時期を分け、二度に分けてお譲りくださいました。最初からすべてを手放すと決めておられたわけではありません。まず全体の評価を知り、ご納得のいく形で手放すお品を選ぶ。それもひとつの、そして大切な選び方だと考えております。世田谷区でのご相談の窓口は、世田谷区の竹籠買取のページにまとめております。

Six makers一軒に集まっていた、6人の作家

お譲りいただいた8点は、次のとおりです。初代と二代の田辺竹雲斎が揃い、二代飯塚鳳斎の籠は作風の異なる二点がありました。

一軒のお宅からお譲りいただいた竹籠8点
作家籠見どころ付属
四代 早川尚古斎花籠細いひごを縦に並べ、編み帯で締めた細長い胴に高い手箱
二代 和田和一斎花籠細かな透かし編みの丸い胴に、二本の高い手―
初代 田辺竹雲斎手付花籃耳を備えた壺形の胴に高い手共箱
二代 田辺竹雲斎手付花籃上部を透かし、下部を密に編んだ角形共箱
初代 前田竹房斎手付花籃幅のあるひごを束ねて大きく交差させた胴に高い手―
二代 飯塚鳳斎花籃細いひごを杉綾状に密に編み上げた壺形―
二代 飯塚鳳斎花籠太めのひごを力強く編み組んだ、低く横に広がる胴箱
生野祥雲斎花籠竹筒の胴に、籐を巻いた高い手箱

※ 付属の「―」は、拝見の時点で箱が見当たらなかったものです。

A lineage in one house8点が語る、竹工芸の系譜

この8点を並べてみると、明治から昭和にかけての日本の竹工芸の、主な流れがほぼ揃っていることに気づかされます。

ひとつは大阪・堺の流れです。大阪の早川尚古斎は、唐物(中国渡来)の籠を写す技を磨いた籠師の家として知られます。堺に生まれた初代前田竹房斎は、三代尚古斎にその腕を認められ、のちに独学で竹芸を究めたと伝わります。また初代田辺竹雲斎は、初代和田和一斎のもとで竹芸を修行し、堺の地で家を興しました。今回の8点には、こうして互いに結びつく四つの家の籠が含まれていました。

もうひとつは、東京で活躍した飯塚家です。二代飯塚鳳斎は、近代竹工芸を代表する飯塚琅玕斎の兄にあたり、唐物風の確かな技量による花籃を残しました。そして別府の生野祥雲斎は、竹工芸の分野で初めて重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された作家です。

集められた方が、こうした系譜を意識しておられたのかは分かりません。けれども、関西・関東・九州の名工の籠を一軒で揃えておられたことに、確かな目と、竹の籠への深い愛着を感じずにはいられませんでした。作家ごとの詳しいご紹介は、この読みもので順にお届けしてまいります。

Seeing them togetherまとめて拝見すると、何が見えるのか

竹籠は、一点だけを拝見するよりも、まとまった数を並べて拝見するほうが、評価が定まりやすい品です。理由は三つございます。

一つめは、作家ごとの違いがはっきりと見えることです。細いひごを隙間なく編み込む端正な唐物風の籠と、幅のあるひごを束ねて大胆に交差させる籠とでは、同じ花籃でも考え方がまったく異なります。並べることで、それぞれの籠がどの作家らしい仕事なのかが際立ちます。

二つめは、代の違いや作風の幅が読み取れることです。今回のように初代と二代の竹雲斎が揃っていれば、同じ家の中での作風の受け継ぎ方と変化が見えてきます。同じ二代鳳斎の籠でも、密に編んだ壺形と、太いひごで力強く組んだ平たい籠とでは、表情がまるで違います。

三つめは、伝来が確かめやすいことです。同じ方が同じ時期に集め、同じように保管してきた籠は、竹の色の落ち着き方や箱の様子にも共通した手がかりが残ります。その一群が、ひとつの家で大切に伝えられてきたこと自体が、お品の来歴を物語ります。

Five points評価を左右した、五つの点

今回の8点を拝見するにあたり、当店では次の点を一点ずつ確かめました。竹籠の評価は、大きさや古さだけでは決まりません。

作家と代
銘や箱書から、どの作家の、何代目の作か。同じ名でも代によって評価は変わります。
共箱・箱書
作者自身が署名した共箱があるか。作者と作品を結びつける、最も大切な証です。
編みと形
ひごの揃い、目の均一さ、底や口の始末、手の付け根の納まり。見えにくい部分にこそ技量が出ます。
時代色・状態
年月を経た竹の落ち着いた色合い、虫食い・割れ・ゆがみの有無。
揃いと伝来
一群としてまとまって伝わっているか。落し(中の水受けの筒)や栞などの付属。

竹籠の種類や素材、編みの見方については、竹籠の買取のページで詳しくご案内しております。

Before you sell竹籠を手放す前に、なさらないでほしいこと

竹は自然の素材のため、良かれと思ってなさったお手入れが、かえって価値を損ねてしまうことがございます。ご相談の前に、次の点だけはお気をつけください。

まず、水拭きや洗剤での洗浄はなさらないでください。年月を経た竹の色合いは後から作ることができず、評価の大切な要素です。ほこりは乾いた柔らかい刷毛で軽く払う程度で十分です。次に、外れたひごや籐、落しは捨てずに保管してください。そして何より、籠と箱を分けて処分なさらないでください。箱だけが別の部屋にしまわれていることもよくありますので、心当たりの箱はすべてお手元に残しておいていただけますと幸いです。

事前にお写真をお送りいただく場合は、籠の全体、底(銘があることが多い部分)、箱の蓋の表と裏の三点があると、おおよその評価をお伝えしやすくなります。

Where to sellなぜ、売る先で評価が変わるのか

日本の竹工芸は、国内以上に海外で高く評価されてきた分野です。ニューヨークのアビー・コレクションをはじめ、海外には日本の竹籠を体系的に集めたコレクションがあり、名工の在銘の花籃は、美術工芸品として国際的な市場で扱われています。同じ一点でも、国内の道具としての相場だけで見る店と、こうした評価を踏まえて見られる店とでは、ご提示できる金額に差が生じます。

古美術もりたは、茶道具・煎茶道具とともに竹籠を見つめ、海外のオークションハウスとの取引を重ねてまいりました。作品にふさわしい評価を率直にお伝えし、無理にお勧めすることはございません。まとまった竹籠のご整理は、竹籠の買取のご案内もあわせてご覧ください。

竹籠・花籃のご売却、まとめてご相談ください

古美術もりたは、名工の竹籠を、作品の価値に見合って評価いたします。作家の違う籠が何点もある、箱と籠がばらばらになっている、誰の作か分からない籠が混じっている。そうした場合も、選り分けずにそのままお見せください。一度にすべてを手放す必要はございません。お見積り・ご相談は無料、秘密厳守で承ります。

お電話:03-3415-1670(年中無休 9:00–18:00) メール:info@art-morita.com
竹籠の査定を相談する 竹籠の買取について 茶道具の買取について

FAQよくある質問

作家の違う竹籠が何点もあります。まとめて見てもらえますか?
はい、まとめて拝見いたします。複数の竹籠をそろえて拝見すると、集められた方の好みや、作家ごとの編みの違いがはっきりと見え、一点ずつよりも評価しやすくなります。点数が多くても、一点ずつ丁寧に拝見いたします。
同じ作家の花籃が二つあります。どちらも評価されますか?
はい。同じ作家の名でも、初代・二代など代が違うことや、同じ作家が作風の異なる籠を残していることがございます。それぞれ別の作品として、銘・箱書・編みから一点ずつ評価いたします。
一度に全部ではなく、何回かに分けて売ることはできますか?
はい、できます。今回ご紹介した事例でも、二度に分けてお譲りいただきました。まず全体を拝見してご説明し、手放すお品と手元に残すお品をお決めいただいてからのご売却でも構いません。無理にお勧めすることはございません。
箱や落し(中の筒)がない竹籠でも、売ることはできますか?
はい、拝見いたします。共箱や落しが揃っている方が評価は安定しますが、なくても、銘や作行きから作者がわかり、十分な評価となる場合がございます。箱と籠が別々の場所にしまわれていることも多いので、心当たりの箱もあわせてお見せください。
誰の作か分からない竹籠が混じっていても、大丈夫ですか?
はい。作者の分からない籠も、編み・素材・時代から評価いたします。名のある作家の籠と一緒に伝わった籠は、同じ方が選んで集めたものとして、見どころのあるお品であることが少なくありません。選り分けずに、そのままお見せください。
竹籠のコレクションの出張査定は、どの地域まで来てもらえますか?
東京・成城を拠点に、全国へ出張いたします。東京都・神奈川県を中心に、千葉県・埼玉県・茨城県・栃木県・群馬県・静岡県へも多くお伺いしております。出張費・査定料・ご相談料はすべて無料です。詳しくは竹籠の買取をご覧ください。

About / Operator運営者・鑑定者情報

竹籠のような竹工芸の査定は、編みと素材への確かな知識と、作者・来歴への敬意が要です。古美術もりたの概要と、取引に関わる許可・登録をご案内いたします。

屋号
古美術もりた(Antique & Fine Art Morita)
所在地
〒157-0066 東京都世田谷区成城3-4-3
小田急線「成城学園前駅」より徒歩8分(ご来店は完全予約制)
電話/受付
03-3415-1670 年中無休 9:00–18:00
創業
神奈川県鎌倉市にて創業。現在は東京・世田谷区成城に拠点を構える古美術商です。
取扱分野
竹籠・花籃・竹工芸、茶道具・煎茶道具をはじめ、近代日本画・書画・書道具・仏教美術・中国美術など古美術全般。
鑑定・実績
古美術商として長年、美術と向き合ってまいりました。美術館への収蔵・展示協力(作品貸出)、海外オークションハウス(サザビーズ・クリスティーズ等)との取引を重ねております。
古物商許可
東京都公安委員会 第303282320966号
特別国際種事業者
登録番号 第00596号

※ お見積り・ご相談はすべて無料、秘密厳守でお伺いいたします。許可・登録の詳細はご利用案内をご覧ください。

竹籠の買取・出張査定エリア

花籃・竹工芸の買取は竹籠の買取(全国対応)をご覧ください。下記の地域は出張査定でお伺いしております。

※ 作家の系譜・師弟関係は、堺市の所蔵作家紹介、別府市の竹工芸紹介などの公開資料を参考にしています(初代 前田竹房斎(堺市)/初代 田辺竹雲斎(堺市)/人間国宝 生野祥雲斎(別府市)/竹工芸名品展:ニューヨークのアビー・コレクション(大阪市立東洋陶磁美術館))。系譜・年代には諸説ございます。本記事は実際の買取事例をもとにした一般的なご案内であり、お客様の特定につながる情報は掲載しておりません。個別のお品については、拝見のうえでご提案いたします。