常滑焼の急須は売れるのか ― 名工の朱泥急須から、お店の在庫品・店じまいの品まで、価値の見極め方
朱色の小ぶりな急須。ご実家の茶棚に残っていたもの、あるいは長年営んできたお店の棚に、箱に入ったまま並んでいるもの――常滑焼(とこなめやき)の急須は、あまりに身近なために「売れるものではない」と思われがちです。けれども常滑には、ロクロの名工と、器に細密な彫りを入れる彫師がいて、その合作の急須は道具の域を超えて評価されています。本稿では、常滑焼の急須の価値がどこで決まるのか、売却をお考えの際に知っておきたい見極めの視点を、古美術商の立場からご案内いたします。
結論から申し上げれば、常滑焼の急須は「誰が作り、誰が彫ったか」と「作りの確かさ」で価値が大きく変わります。古い時代のものに限りません。現代の作であっても、名の通った作り手の急須、未使用で箱の揃った品は、しっかりと評価の対象になります。そして、箱のない急須でも、もちろん査定・買取いたします。箱が失われていても、急須そのものの作り手や出来は変わりません。「箱がないから」と諦めてしまわれる前に、どうぞそのままお見せください。陶器店・金物店などの在庫品や、店じまいに伴って残ったお品物も、処分を決める前にぜひご相談ください。
この記事でわかること
- 常滑焼と朱泥急須の成り立ち
- ロクロ師と彫師 ― 常滑の急須が「合作」で生まれる理由
- 箱のない急須、お店の在庫品・閉店品も見てもらえるのか
- 価値を左右する要素と、売却先選びの考え方
Tokoname ware常滑焼と朱泥急須 ― 六古窯の地に根づいた急須づくり
常滑は、良質な粘土に恵まれ、海に面して焼き物を各地へ運びやすい土地でした。中世には大きな甕や壺を焼く一大産地として栄え、のちに土管や瓦、招き猫まで、時代に合わせて多くのやきものを生み出してきました。そのなかで常滑の名を広く知らしめたのが、朱泥の急須です。鉄分を多く含む土は焼くと赤く発色し、釉薬をかけない焼き締めの肌は、お茶の味をまろやかにするといわれます。明治11年(1878年)には、陶祖と称される鯉江方寿(こいえ ほうじゅ)が、中国・宜興から金士恒(きん しこう)を招いて急須の成形技法を学んだと伝わり、これを機に常滑は朱泥急須の一大産地となりました。のちには三代 山田常山(やまだ じょうざん)が急須の作陶で重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されるなど、急須は常滑を代表する工芸として育ってきました。
Potter & carverロクロ師と彫師 ― 常滑の急須は「合作」で生まれる
常滑の急須には、器を挽く「ロクロ師」と、その器に文字や絵を彫り込む「彫師」の二人の名が並ぶものがあります。箱書きに「◯◯造」「◯◯刻(彫)」とあるのがそれで、二人の名工の仕事がひとつの急須に重なることで、格がいっそう高まります。
冒頭の写真の急須は、まさにその合作で、東京都世田谷区のお客様からお譲りいただいたお品です。胴の円窓には雲間を躍る唐獅子が、両脇には方形の小窓が細やかに彫り表されています。器を作ったのは村越風月(むらこし ふうげつ)。1950年生まれとされ、ロクロ目の筋をあえて残す「筋引き(すじひき)」の端正な急須で知られ、国内外の日本茶の愛好家にも名を知られる作り手です。彫りを入れたのは吉川壺堂(よしかわ こどう)。1947年生まれの彫師で、常滑焼の伝統工芸士として、また常滑市の無形文化財として認められています。実弟のロクロ師・吉川雪堂(せつどう)との兄弟合作の急須でもよく知られ、その細密な彫りは常滑の急須のなかでも特に人気があります。こうした名のある作り手の急須は、現代の作であっても、十分に評価の対象となります。
Shop stock & closing sales現代の急須、お店の在庫品・店じまいの品も
常滑焼のご相談は、古いお品物に限りません。陶磁器店や金物店、茶舗などで扱われてきた在庫品、あるいは閉店・廃業・倒産に伴って残った常滑焼の急須や茶器も、当店では拝見いたします。お店の在庫品は、未使用で、箱や栞(しおり)、共布が揃っていることが多く、作り手の銘がある品であれば、その状態の良さがそのまま評価につながります。もちろん、箱を処分してしまった品、箱から出して店頭に並べていた品でも構いません。常滑の急須は、蓋の裏や持ち手の下などに作り手の陶印が押されていることが多く、箱がなくても作り手を辿れる場合が少なくないためです。また、作家物と日用品がひとつの棚に混在していることも珍しくありません。一点ずつ選り分けるのは大変な作業ですので、点数が多い場合は出張でお伺いし、棚ごと・箱ごとに拝見いたします。
一方で、型を使って量産された普段使いの急須は、単体では値がつきにくいこともございます。その場合も、まとめての数や状態によってご提案できることがありますので、ありのままを率直にお伝えいたします。処分業者へまとめて出してしまう前に、一度ご相談ください。
Five factors価値を左右する、五つの要素
常滑焼の急須を拝見する際、当店では次のような点を総合して評価いたします。
- 作り手・銘
- 誰の作か。蓋裏・持ち手の下・底などの陶印(落款)、箱書きの「造」「刻」の名。名工・人間国宝の作は別格。
- 彫り
- 名のある彫師の細密な彫りか。漢詩・山水・人物・動物など、図柄の出来と緻密さ。
- 作りの確かさ
- 手挽きのロクロか型作りか。器の薄さ、蓋の合い、注ぎ口のキレ、茶こしの細やかさ。
- 状態・未使用
- 欠け・ニュウ(ひび)・蓋の欠損の有無。未使用品はとくに評価しやすい。
- 付属・揃い
- 共箱・共布・栞があれば加点材料に。ただし箱がなくても査定・買取は可能で、評価の中心はあくまで急須そのもの。湯冷まし・煎茶碗と揃った茶器揃、まとまった数の在庫も。
当店では、名工のロクロや名のある彫師の手による急須、人間国宝の作をはじめ、手作りの確かな急須を、作品の価値に見合って評価いたします。箱の有無だけで判断することはございませんので、箱のない急須も安心してご相談ください。湯冷ましや煎茶碗、茶托など他の煎茶道具とあわせた一括のご整理は、煎茶道具の買取のご案内もご覧ください。
Where to sellなぜ、売る先で評価が変わるのか
常滑焼の急須は、ふだん目にする機会が多いぶん、「急須はどれも同じ」と一括りに扱われてしまうことがあります。けれども、箱書きの「造」と「刻」の名を読み、陶印を確かめ、ロクロと彫りの出来を見分けられるかどうかで、ご提示できる金額には大きな差が生じます。いま常滑の急須は、国内の煎茶愛好家だけでなく、海外の日本茶の愛好家からも求められています。古美術もりたは、煎茶道具を扱い、国内外の販路をもつ立場から、作品が本来の価値で次の使い手へ渡るよう橋渡しをいたします。急須は煎茶道具の買取のなかでも作り手の見極めが要となる品ですので、洗ったり磨いたりなさらず、まずは現状のままご相談ください。
常滑焼の急須の売却・査定のご相談
古美術もりたは、常滑焼の朱泥急須を、作り手・彫り・作りの確かさから丁寧に評価いたします。古い時代の品はもちろん、現代の作家物、箱のない急須、陶器店・金物店の在庫品、店じまいに伴うまとまった数のお品物でも構いません。お見積り・ご相談は無料、秘密厳守で承ります。
FAQよくある質問
古い時代のものではなく、最近作られた常滑焼の急須でも売れますか?
陶器店や金物店に残った常滑焼の在庫品、閉店・廃業に伴う商品もまとめて見てもらえますか?
使っていた常滑焼の急須で、茶渋が付いています。査定はできますか?
箱のない常滑焼の急須でも売れますか?誰の作かも分かりません。
常滑焼の急須は、彫りの入ったものと無地のものでは、どちらが評価されますか?
常滑焼の急須だけでなく、湯冷ましや煎茶碗、他の煎茶道具もまとめて見てもらえますか?出張は可能ですか?
About / Operator運営者・鑑定者情報
常滑焼の急須の売却は、作り手と彫りを読み解く目が要です。古美術もりたの概要と、取引に関わる許可・登録をご案内いたします。
小田急線「成城学園前駅」より徒歩8分(ご来店は完全予約制)
※ お見積り・ご相談はすべて無料、秘密厳守でお伺いいたします。許可・登録の詳細はご利用案内をご覧ください。
煎茶道具の買取・出張査定エリア
急須・涼炉・茶托などの買取は煎茶道具の買取(全国対応)をご覧ください。下記の地域は出張査定でお伺いしております。
※ 常滑焼の沿革・年代、宜興からの技術伝来の経緯、作り手の生年・経歴には諸説あり、資料により差異があります。真贋・作り手・価値の判断は、素材や状態によって異なりますので、個別のお品物については拝見のうえでご提案いたします。